研究概要 |
本研究では,コンクリートのひび割れ面に垂直方向の垂直荷重(引張または圧縮)と接線方向のせん断荷重が同時に作用した場合のコンクリートのクラック生成と成長およびその破壊進行領域における力学的特性を明らかにすることを目的としている。今年度は第一段階として,サーボ制御システムによって垂直方向と水平方向に載荷可能な2軸実験装置を構築した。実際の構造物では,2軸方向の色々な荷重の組み合わせが考えられるため,各軸はお互いに独立に載荷できるように設計を行った。垂直方向荷重は,1000kN疲労試験機を使用した。せん断力載荷用には,疲労試験機に水平加力フレームを組み込み,高圧ジャッキシステムでコントロールする200kNジャッキを左右に設置した。さらに,破壊進行領域の材料特性を決定するためには,荷重制御試験ばかりでなく,変位制御試験も不可欠である。そのため,変位制御および荷重制御の両者の試験がクローズドループサーボ制御システムを用いて実行できるように制御プログラムを作成した。 予備実験では,疲労試験機を用いた変位制御引張載荷(0.00002mm/sec)によって試験体中央部のノッチ間に規定の初期ひび割れ幅を生成させた後,そのひび割れ幅を一定に保つホールド波を出力して,せん断力を変位制御(0.0005mm/sec)により載荷する変位制御せん断試験を行い,サーボバルブ,油圧,制御感度の適正値を見出すと同時に,試験装置の動作確認を行った。一方,規定のひび割れ幅に到達後,荷重制御により圧縮荷重1kN(0.07MPa)まで除荷後,荷重を一定に保つホールド波を出力して,せん断力を載荷する荷重制御せん断試験の場合についても動作確認を行い,両者のせん断挙動(垂直荷重,垂直変位,せん断荷重およびせん断変位の4者の関係)の相違について考察した。
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