柱脚のヒンジ領域に継手が集中するPCa柱部材では、継手部分の付着力が期待できない場合には、主筋の有効付着長さが短くなり、ダボ作用も加わって付着割裂破壊を起こし易く変形性能が低下する原因となることが予想され、設計上大きな問題となることが分った。主筋および継手のひずみ測定に重点をおいたPCa柱の実験を実施した結果、継手部分にも付着力は期待できるが、継手部分の剛性が大きいために主筋降伏以前でも最大ひずみの生じる位置が継手上端部付近にくる場合があり、主筋の有効定着長さが短くなることが確認された。そこで、集約せん断補強筋を配筋すれば主筋のダボ変位を拘束し、ダボ作用による割裂きを防止するため、付着割裂破壊を防止して変形能力の向上が期待できると考えられることから、集約せん断補強でどのレベルまで付着割裂耐力を向上できるかを確認する実験を行った。その結果、集約補強筋量に相当するせん断補強筋を均等に配置しただけの効果はないが、集約補強筋量に比例して付着割裂耐力が上昇した。均等配置のせん断補強量に換算して0.2〜0.4%の効果が確認され、集約補強筋によって付着割裂耐力を向上させ変形能力の向上をはかることが可能であることがわかった。 平成10年度および11年度の研究成果をまとめて、第12回世界地震工学会議(2000年2月、ニュージーランド)にて論文発表を行った。
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