1.提案した解析モデルを用いて、複数の筋かいを配置した構面モデルの弾塑性応答解析を実施した。この解析では、水平1方向の地震波を作用させた時と、水平動と上下動を同時に作用させた時の応答変位や最大軸力を比較し、上下動が建物の応答に及ぼす影響について検討した。複数の地震波について解析を行った結果、(1)構面上部の時刻歴応答変位、最大応答変位では、上下動の影響は見られず、(2)筋かいでは、最大軸力が上下動により約5%増加した。(3)柱では、水平動のみ作用させた時の最大軸力が非常に小さい柱に上下動の影響が見られ最大軸力が2〜3倍になったが、それ以外の柱では最大軸力の増加は約20%であった。また、各接合部の最大応答変位と接合部実験の荷重-変位関係を比較し、地震時の損傷分布を把握した。 2.構面モデルの検討終了後、解析モデルを3次元に拡張し、弾塑性応答解析を実施した。1.の結果より、上下動は部材の軸力に関してある程度影響を及ぼすものの、建物全体の応答にはそれほど影響しないと考えられるため、3次元モデルの解析では、水平2方向(NS、EW成分)の地震波を同時に作用させたときの水平応答変位や変動軸力について検討した。複数の地震波について、NS成分、EW成分のみを作用させた時の応答と2方向地動を作用させた時の応答を比較した結果、(1)建物上部の最大水平応答変位は、1方向入力の変位の2乗和平方と2方向入力の変位とでほぼ同様の値であった。(2)2方向入力時の隅柱の最大引張軸力は、1方向入力時のNS、EW成分の最大値の何れかと近い値を示し、2方向地動により最大で約30%増加した。
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