研究概要 |
システム信頼性を制約条件とした設計法では,精度の高いシステム信頼度の評価法が必要である.既往の研究では,遺伝的アルゴリズム(GA)による剛接骨組系のシステム信頼度評価法について考察しているが,複モード限界値によるシステム信頼度(上・下限値)の評価結果は,解析モデルに大きく依存し,非常に広くなる場合が存在する.そこで,本年度は実用的なシステム信頼度評価法の開発を目標として,複モード限界値を改善した簡便なシステム信頼度の逐次近似評価法を提案し,その精度・適用性について考察したが,本年度の成果をまとめると次のようになる. 1.複モード限界値による方法では,3次以上の結合確率の影響が問題となるため,それが発生しないように評価過程を改善し,必要となる2次結合確率の近似評価式を提案して,2次までの統計量を使った簡便なシステム信頼度の逐次近似評価法を提案した. 2.2次結合確率評価精度に影響する要因は,破壊モードの信頼性指標と破壊モード間の相関係数であり,これらに関する評価精度を考慮するために,提案算定式と数値積分による結果を比較し,提案算定式が極めて精度が良いことを確認した. 3.システム信頼度評価精度に影響する要因は,システムに起る破壊モード数,破壊モードの信頼度特性及び破壊モード間の相関係数であり,これらを考慮した幾多の数学問題と剛接骨組系の問題において,提案評価法,モンテカルロシミュレーション及び複モード限界値による結果を比較することにより,提案評価法は解析モデルの統計的特性に依存しない実用性の高い評価法であることが判明した.
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