研究概要 |
本年度は,コンクリートの中性化が鉄筋腐食に及ぼす影響をコンクリートの水セメント比(w/c),ひび割れの有無とその幅を実験要因に調べた。試験体は幅110mm,高さ140mm,長さ600mmのコンクリートはりにアノード部想定の丸鋼φ13とカソード部想定のステンレス棒φ14を埋設し,両者の間を流れる腐食電流を測定した。腐食促進試験は1日間海水相当の塩水(65℃)に浸漬し,1日間自然乾燥するサイクルを35サイクル行った。中性化の深さは,水セメント比に応じて中性化促進期間を変えて,0,5,10mmとした。アノード,カソード部のかぶり厚さは10mmである。20mm,40mmについては実験準備中である。 試験結果は,中性化しているコンクリートほど腐食電流が多く流れること,ひび割れの有無によって腐食電流量が大きく異なること等,今までの筆者らの試験結果と同じ傾向を示している。ただし,水セメント比に関しては,高水セメント比のコンクリート中の方が腐食電流量が少ない結果が得られ,アノード想定部とカソード想定部から成るマクロセル腐食電池の他にアノード想定部においてミクロセル腐食電池が形成されていることが推定される。今後アノード部を取り出し,腐食状況(腐食面積,重量減)を調べ腐食電流との関係を調べる。 2つ目の実験として,コンクリートの水セメント比,かぶり厚さ,ひび割れ幅を要因に120体の試験体を作製し,海岸近くに自然暴露して,腐食促進試験と比較検討を行う実験を開始している。
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