研究概要 |
まず,超軽量繊維補強コンクリートの作製条件に関し予備的実験を行った。特にコンクリートの多くを占める骨材を空気で置換し,軽量化・省エネ・完全リサイクル型を目指した気泡コンクリートの作製を広範囲の材料条件で検討した。基礎実験の結果,アルミ系よりも起泡剤系の方が低水セメントでの気泡導入が容易であり均一の気泡分布が得やすいこと,空気量50%以上では空気泡の状態が圧縮強度に影響すること,気泡剤の添加量が増加するほど強度は低下し吸水量も増加することなどが明らかになった。 次に,高強度軽量化繊維補強コンクリートの強度特性および破壊靭性を把握するために,切欠き梁3点曲げ試験から荷重-荷重点変位曲線を求め,さらに逆解析により引張軟化曲線を求め,ひび割れの進展に伴う靭性能を詳細に検討した。その結果,比重が大きくなるほど強度は大きく,空気量が大きくなるほど強度は小さくなり,両者ともほぼ比例関係にあること,起泡剤の添加量は0.5%で十分な気泡が得られること,繊維混入試験体はプレーン試験体に比べ靭性能は著しく向上することなどが明らかになった。特に,繊維長が長い方が靭性能は大きくなり,この理由として,モルタルマトリックスと繊維の付着面積が増加し引き抜けに対するエネルギー消費が大きくなることが考察された。本実験結果により,比重1で約20Mpaの圧縮強度の軽量コンクリートが得られ,それらは気泡の混入によりさらに軽量化が図れ,短繊維の混入により靭性も向上することが明らかとなった。 さらに,超軽量繊維補強コンクリートを増設の耐震壁に適用することを目的とし,繊維混入超軽量・プレーン超軽量・普通コンクリートなどによる耐震壁の水平加力試験結果を行い,超軽量繊維補強コンクリートが耐震性に優れることを明らかにした。
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