2方向水平力と柱軸力とを同時に載荷するRC立体骨組部分架構試験体(平成11年度に実験実施予定)の設計を行なった。試験体は実骨組を約半分に縮小した柱・梁接合部を含む部分架構全2体とし外柱・梁接合部試験体、内柱・梁接合部試験体を1体づつとした。試験体の寸法は、東京都立大学で行なってきた平面骨組接合部実験との連続を考慮して柱断面350mm×350mm、梁断面250mm×350mm、階高1800mm、梁スパン2800mmとした。応力の流れを単純にするためスラブは付けない。柱・梁接合部のせん断破壊を先行させるために柱・梁主筋には高強度鉄筋を使用することとした。内柱・梁接合部内の梁主筋は慣用に従って通し配筋とし、外柱・梁接合部内の梁主筋は接合部内でのせん断伝達機構を確実に維持するために上・下端筋とも接合部内に折り曲げ定着した。コンクリート圧縮強度は接合部のせん断破壊を先行させるために240kgf/cm^2程度を予定している。実験実施には梁端部に設置するピン治具が新たに必要なため、本年度の予算で作製した。これとは別に、鉛直地震動がRC立体骨組内の外柱および内柱に引き起こす変動軸力の大きさと範囲とを調査するため、4階建て学校建物を立体骨組にモデル化して兵庫県南部地震で得られた水平2方向および上下動を入力する非線形地震応答解析を実施した。柱部材のヒンジ領域をマルチスプリング・モデルとして2軸曲げ相関を考慮したこと、ねじれ振動を考慮したこと、などが特徴である。比較のため上下動を入力しない解析も行ない、外柱では引張りから圧縮まで大きく変動する軸力の範囲を調査した。また内柱でも上下動によってかなり大きな軸力変動が生じ得ることを指摘した。
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