試験体は側柱に接続するはりを想定したト型形式で、実大の約1/2とした。柱には角形鋼管、はり材にはH形鋼を用いた。また、柱-はりの接合には通しダイヤフラムを用いた。試験体の種類はスカラップの有無、及び裏当て金の有無のそれぞれの組み合わせによる4種類で、各種類に対して6体、計24体の試験体を製作した。 実験ははり端の変位がはりの全塑性モーメント時の弾性変位(Δp)の1.0〜2.0倍となるような両振り振幅とし、変位振幅値と疲労き裂発生、疲労き裂進展挙動、及びはりの破断時繰返し回数の関係を求めた。 破壊形式はスカラップが無く裏当て金が無い場合は、全ての試験体ともダイヤフラムとフランジの溶接止端部で且つフランジ縁からき裂が生じ、フランジ全幅にき裂が進展して破壊に至った。裏当て金が有る場合は1.25Δp以下では裏当て金の溶接止端部から、また1.5Δp以上ではダイヤフラムとフランジの溶接止端部からき裂が発生し、フランジ全幅を貫通した。一方、スカラップが有り裏当て金が無い場合では1.0Δp未満ではフランジ側面の溶接止端部からき裂が発生し破断に至った。変位振幅が1.0Δp以上ではフランジの中央のスカラップ底付近にき裂が発生し、破壊に至った。また、裏当て金が有る場合は全ての試験体において裏当て金のすみ肉溶接異端部からき裂が発生し、破壊に至った。 柱-はり溶接接合部の疲労寿命は同一の変位振幅に対してスカラップが無い場合ははそれが有る場合よりも2〜3倍程度長寿命となる。また、裏当て金の有無に依る寿命の差異は、スカラップが無い場合は裏当て金無しがそれが有る場合よりも長寿命となり、スカラップが有る場合は1.0Δp以下では裏当て金無しが裏当て金有りよりも長寿命となるが、1.0Δp以上では裏当て金の有無に依らず同程度であった。
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