1〜3について研究を実施し、各々の成果を得た。 1. 表層部の密実性に関する基礎的実験 耐久性や意匠性に関わる表層部の密実性は、内外的要因に支配されるものとの考えから実験した。その結果、内的要因では、水セメント比と単位水量の影響が際立ち、共に大きいものほど粗雑な組織構造になること、また外的要因では、初期の水質養生の影響が大きいことが明らかになった。 2. 実態調査 新築時の不具合は、多種に及び、とりわけ空洞気孔や継ぎ目まわりの色むらは、調査した建物すべてに見られた。これに対して、積雪寒冷地における経年劣化では、ひび割れからのエフロレッセンス、また海岸地域では、さび汁の汚れのほか、鉄筋腐食による表層部の剥離、剥落が多いことが明らかになった。さらに、カビによる汚れの発生機構を考察した。 3. 補修再生工法の基本構想の予備的検討 1.2の結果から、補修再生工法の基本構想を考察した。すなわち、不具合補修や劣化した表層部の補修には、複層仕上げが不可欠であることを見出し、それに供する補修材料に要求される主な性能は付着性、撥水・防水性、それに収縮の小さいものであることを抽出した。そして、その具現化の予備実験として、各種のポリマーデスパージョンを用いたセメントモルタルの基礎的物性を求めて、材料・調合の基礎資料とした。
|