研究概要 |
鉄筋コンクリート部材と鉄骨部材が直列的に結合される接合部(継手部等に対応する)の応力伝達機構を明らかにするために、鉄筋コンクリート部材に埋め込まれる鉄骨部材の埋込長さを実験変数とする4体の載荷実験が実施された。埋込長さは、鉄骨せいの1, 2, 3および4倍である。本実験では、最も基本的な観点から、継手部に純曲げモーメントのみ作用するように計画された。なお、鉄筋コンクリート部材のせん断補強筋比は、各試験体0.64%とした。これら4体の載荷実験から、埋込長さが鉄骨せいの3倍あれば部材の耐力を発揮させることができることが明らかにされた。また、鉄筋コンクリート部分および鉄骨部分のひずみの測定結果から、鉄骨部材から鉄筋コンクリート部材への応力伝達は、鉄骨とコンクリートとの摩擦力によるものとてこ機構に基づく鉄骨フランジ上下面の支圧力によってなされることが明らかにされた。 これらの実験結果に基づいて、鉄骨部材から鉄筋コンクリート部材への応力伝達機構が提案された。このモデルでは、鉄骨部分とコンクリートとの摩擦力はコンクリートを介して主鉄筋に伝達され、一方、鉄骨フランジ上下面の支圧力は鉄筋コンクリート部分を押し広げようとする働きに対してせん断補強筋が抵抗し、それに伴ってコンクリート圧縮束が形成され、トラス機構によって鉄筋コンクリート部分に応力が伝達されると考えるものである。このモデルに基づいて耐力評価法が提案され、実験結果を良く評価できることが示された。 なお、次年度は、埋込長さが短い場合に着目して、部材の性能を発揮させるためには、継手部にどのような補強を施せば良いのか実験的および理論的に検討し、異種構造部材が直列的に結合される接合部の合理的な設計法を提示する。
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