研究概要 |
建材等からの汚染質の発生や吸着を考慮した室内空気質の予測法,汚染質の排除を基にした換気効率の定義とその応用,汚染質の制御を目的にした換気・空調方式の実際に関する国内外の文献調査を行い本研究に関する研究動向の分析と問題点の整理を行った。汚染質発生に関するチャンバー実験については数多く行われてきており,データベース化も進められているが多くは1次減衰モデルの回帰式で整理されたものであり,今後のモデルの進展によっては,そのデータ自体が古くなってしまう危険性を残しているといえる。また,建材表面の吸着・脱着に関する実験は極めてすくなく,今後の大きな課題となっている。 著者らがこれまで行ってきた建材や塗料などからの汚染質の発生,吸着および再放出のモデリングにより得られた成果を応用する形でそのモデルを統合した多数室換気計算プログラムを開発し,その妥当性・精度を検証するために,本学実験室内の実大居室モデルを用いた詳細な換気実験のための準備を行った。また,これまで提案されてきた汚染質排除効率の測定法の手順,再現性,精度を調べるために,本学の小型チャンバーによる予備実験を行った。その結果,換気・空調による汚染質の排除の評価に対して汚染質排除効率が有効であることを示唆するデータが得られつつある。また,数値シミュレーションによりwetな建材からの効率的な汚染質排除のための換気方法について検討した。さらに,実際の建物を使って実用的な現場測定法のための予備調査も同時に行い,標準的な測定法を提案するためのデータを収集・整理中である。
|