研究概要 |
前年度に引き続き建材や塗料などからの汚染質の発生,吸着および再放出のモデリングの検証のために,Langmuirモデルを多数室換気計算プログラムに統合した室内汚染質濃度予測プログラムを用いて,住宅を対象とした換気方式の性能評価シミュレーションを行った。その結果,wetな建材からの効率的な汚染質排除のための換気方法としては,定風量方式の場合は,強で短時間運転するよりも弱で長時間運転する方が効率は向上し,段階的に風量を変化させた換気運転モードではモードの違いにより効率は大きく変化し,時間と共に風量を大きくするモードでは汚染質排除効率が定風量モードに比べ80%も向上することが分かった。 建材の吸着・脱着特性データを収集することを目的として,Langmuirモデルに含まれる吸着率および脱着率の同定手法の理論とその適用方法を開発した。この方法は試験片を温度および換気風量制御可能なステンレス製の小型チャンバー内に入れ,注入汚染質のステップ変化による汚染質濃度をモニタリングすることにより,得られた汚染質濃度の履歴から統計解析用ソフトを用いた非線形回帰分析によりLangmuirモデルの吸着率および脱着率を同定する方法である。その試験装置を試作してデータ収集中である。併せて,これまで提案されてきた汚染質排除効率の測定法の手順,再現性,精度を調べるために,小型チャンバーによる実験を継続して行っている。さらに,実際の建物を使って実用的な現場測定法のための標準的な測定法を提案するためのデータを収集・整理中である。 次にCFDによる換気効率算出のベンチマークテストを行うために,汎用的なCFDソフトに建材等からの汚染質発生・吸着・脱着モデルの境界条件の組み込む方法を検討した。現在,このプログラムの精度の検証と共に汚染質排除効率の算出方法について検討中である。
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