研究概要 |
本年度は研究最終年度に当たり,1)両構想集合住宅における気密性能の実測調査,2)超高層集合住宅に換気システムを設置する際の設計段階での検討手法の開発,3)通風時の換気量把握のための屋外模型実験,を実施した。第1のテーマについては,首都圏の超高層集合住宅を対象として多数の実測調査を実施した。その結果,超高層住宅のドア部分の気密性状が建物によって大きく異なり,これが建物全体の気密性能そのものに重大な影響を与えること,またドアの隙間相当面積が換気設備による室内各部の換気性状に重大な影響を与え得ることが判明し,今後も継続して調査が必要であることが分かった。第2のテーマについては,センターコア型の住宅に関し,別途実施した風洞実験結果,気象データ,気密性能に関する調査資料を統合して検討する手法を開発した。今秋開発した手法により建物が建設される地域により,どの程度の頻度で換気設備による正常な室内換気が可能となるか,どの部位の気密性能の変更が建物全体の換気バランスに影響があるか,などの検討が可能となった。現在は更にセンターボイド条件への拡張を考慮している。第3のテーマについては,風洞実験との関連性評価の段階にとどまっており,今後風圧力,トレーサーガス実験,室内風速測定などを同時に実施するなど,実験方法の改善が必要であることが分かった。
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