(1)被験者による申告実験実施:実験室内に冷温風機及び電気カーペットを配置して、平成11年7月19日〜7月29日の8日間で述べ32名の被験者による夏期実験を行い、平成11年12月8日〜21日の10日間にわたり述べ40名の被験者による冬期被験者実験を実施した。サーモカメラによる着衣表面温度の計測、熱電対による皮膚表面温度の計測、熱流計による計測を行い、実験方法・結果の処理方法を検討した。SET^*に用いられている2nodeモデルと田辺らによる16分位モデルを用いて、実験結果と人体放熱モデルによる計算結果を、皮膚表面温度について比較・検討した。その結果、夏期では±0.5℃程度の誤差で十分予測可能であることが示されたが、冬期では3℃程度の誤差となり、室気温と皮膚表面の温度差が大きい場合では皮膚温の予測は困難であることがわかった。 (2)各種計算法の整備:実験結果の処理において、被験者の放射熱授受の計算方法が問題となった。実験ではグローブ温度を1点のみ計測しているが、床暖房時を始め被験者の放射伝熱をグローブ温度のみで計算することとなり、不都合を生じた可能性が高い。今後は周壁面の温度から被験者の放射伝熱を的確に予測して、人体モデルを活用する計算方法を考察する必要がある。 (3)以上より、(1)被験者の放射伝熱を周壁温度から解析する方法を構築すること、(2)人体モデルと実験結果を再度比較・検討すること、(3)気流計算結果と被験者実験結果の比較・検討の整合性を図ること、などの検討課題を得た。
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