(1)被験者による申告実験実施:実験室内に冷温風機、ウィンドファン及び電気カーペットを配置して、平成12年7月17日〜8月1日の11日間で述べ54名の被験者による夏期実験を行い、平成12年12月11日〜22日の10日間で述べ50名の被験者による冬期実験を実施した。田辺らによる16分位モデルを用いて、実験結果と人体放熱モデルによる計算結果を、皮膚表面温度について比較・検討した。1999年度実験の反省点から、(1)皮膚表面温度の計測点を14点から17点に増やした、(2)皮膚表面温度と被験者周辺気温の測定に白金抵抗測温体を用いた、(3)人体放熱モデルでは計算に用いられるパラメータを見直して設定を変更した、の3点を改良した。その結果、実測と人体放熱モデルの皮膚表面温度は、手・足などで2〜4℃異なるものの概ね±1℃程度の誤差で十分予測可能であることがわかった。 (2)各種計算法の整備:実験結果の処理において、被験者の放射熱授受の計算法を検討した。人体放熱モデルで用いられる、(1)グローブ温度から平均放射温度MRTを算出して各部位に同じ値を与えて各部位ごとの周辺気温から作用温度を算出する方法と、各壁面と人体各部位の形態係数を求めて放射熱量を算出し、(2)各部位の放射熱量からMRTを求めて作用温度を算出する方法、(3)人体全体の放射熱量からMRTを求めて算出する方法、の3種について実測結果と比較した。その結果、(1)と(3)はよく一致したが、(2)は実測結果に比較して多くの部位で2〜4℃程度の差となった。室内各壁面と人体モデルにおける放射熱授受の計算方法は、各部位における放射熱授受については検討が必要であるが、計算方法としては(3)で十分対応可能であることがわかった。
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