(1)被験者実験による人体放熱モデルの検証:平成10年度冬期から平成12年度冬期にわたって、述べ188名の被験者を用い、被験者周辺の温熱環境要素と皮膚表面温度を計測し、人体モデルの計算結果と比較した。その結果、手・足を除いた各部位で±1.0℃以内でよく一致し、本研究で用いた田辺らの16部位モデルの妥当性を確認できた。 (2)数値計算法の洗練と連成:一般曲線座標系における人体の各表面は不整形となるが、各面の形態係数の計算法に今野らによるヘミキューブ法を主体とする計算方法を採用し、計算時間の高速化を図った。また放射熱授受計算との連成を達成し、計算方法の構築を行った。ただし、計算結果は実測と4℃程度異なる結果となった。また計算安定性も悪く、連立一次方程式の数値解法に工夫が必要であり、妥当な計算時間で求められるよう今後検討する必要があろう。 (3)今後の課題:人体モデルでは皮膚表面温度の算出は妥当であったが温冷感指標と被験者温冷感申告との間に大きな差が見られた。また放射熱授受計算では実験結果と大きく異なる結果となった。今後さらに洗練が必要である。
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