地域空間は、人々の生活の場として自然環境を基盤にさまざまな人為的開発の総体によって形成されている。安定した良好な地域空間は、自然環境と人為環境の調和のうえに、そこで営まれる日常生活において住民が豊かなアメニティと精神的充足感を享受できるものでなければならない。 本研究は、東アジアにおける空間計画原理として伝統的に継承されてきた「風水」を中心に、経験則に基づく地域環境形成手法を実証的に分析・検討し、体系的に整理することによって、地域空間計画への新たな指針を得ようとするものである。 本年度は、上記のような問題意識に基づき、次の手順で調査・分析を行った。 1.長野県に関する文献・地図資料を収集し、伝統的集落から発展した地域中心都市を主体に、28ヶ町(明治22年当時)の対象事例を選定した。 2.上記事例都市における中規模の風水空間(ほぼ市町村の規模に対応)を対象として、地形図と空中写真の判読に基づき、市街地立地と自然環境との関係をタイポロジー的に把握・分類した。 3.各種の統計資料、都市・地域計画資料等を用いて対象都市の地域空間構造の解析を行い、風水空間構成要因について検討を加えた。 4.沖縄県、滋賀県、台湾、韓国に関する資料を収集し、事例対象選定の予備的作業を行った。
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