1 都市計画法における委任条例による地域の特性に対応した個性あるまちづくりの可能性と限界との検討するために、現在制度化されている4つの委任条例(風致地区条例、特別用途地区条例、美観条例、地区計画条例)について、その適用状況とその役割について調査研究を進めた。建設省が委任条例についての自治体調査を実施していることが、判明したため、建設省及び建設省建築研究所にヒアリング調査を行い、さらに資料収集を行った。その結果上記の4条例の他に日影条例、建築協定条例、50条条例が本研究に関係することがわかったことと、なかでも50条条例を上記の4条例に加えて具体的な検討対象とする必要があることが判明した。 また風致地区条例の資料収集が進んだこと、その他の委任条例についても建設省が関係する「地域特性に対応した市街地建行政推進協議会」の毎年度調査の結果収集が進められた。 2 まちづくり条例が数多くかつ多様に存在するものを整理し、わが国の自主条例によるまちづくりの可能性の現在と将来への可能性を明確にするために、まちづくり条例の収集に努め、既に収集していたものを加えて370にのぼる条例を収集した。 その結果全容が明らかでなかったまちづくり条例は多様に存在し、一定の定義を行い、まちづくりに深く関係する分野のまちづくり条例を整理し類型化した。その結果、まちづくり条例は(1)開発系、(2)環境系、(3)計画系、(4)地区まちづくり系の類型に区分されることが判明した。今後の分析を通して、それぞれの条例がまちづくりにどのような役割を担っているのか、その経緯を含めて幅広い検討を行う材料が整えられた。
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