1 都市計画法における委任条例である4つの委任条例(風致地区条例、特別用途地区条例、美観条例、地区計画条例)の中から事例が多く、さらに多様な活用がされている風致地区条例、特別用途地区条例について、自治体の条例の収集を行い、ヒアリング調査等も加えて分析を行った。風致地区条例については国の標準条例に対して「上乗せ]、「横だし」などの事例が見られ整理分析した。特別用途地区条例については1998年の都市計画法改正により、地区類型の限定が廃止されたが、その効果は現在のところ殆ど無いと言うことが判明した。また建築基準法にもとずく委任条例である50条条例も検討の対象としたが十分な資料収集に至らなかった。 2 まちづくり条例の新しい展開方向を分析し、(1)複合化の事例として、鎌倉市、伊賀市等の事例(2)システム化の事例として箕面市、宝塚市等の事例(3)ネットワーク化の事例として神戸市等の事例を選択して、まちづくり条例の制定の経緯および運用の実態についてをヒアリング調査等による詳細な調査を行った。 3 都市計画法改正に伴う条例事項の拡大についての考察を行った。都市計画における集権的あり方から分権的あり方への変化は、都市計画が国民の財産権に強い制約を課すという基本的性格から全国的な公平性・平等性を第1とする考え方から、地域の実情を踏まえた多様性・選択性をも加味したものへと変化することを意味している。平成12年の都市計画法改正は条例への委任を法律上明らかにしている部分が拡大しれおり、その内容と意図とを明確にした。 4 委任条例と自主条例を連携させて、独自のまちづくりを展開させている神戸市、京都市、札幌市の事例があるので、各自治体の事例を収集し、ヒアリング調査することにより、両者の役割分担の可能性とその効果につての考察を行った。その結果、住民、あるいは民間にとって、国の法令に基づくものか、自治体の自主的なものかは基本的に関係ないことであり、分かりやすい行政が必要であり、委任条例と自主条例の連携、一体的運用は望ましいことである。また自治体の役割の重要なものとして行政の総合化があるとすれば、委任条例と自主条例の連携、一体的運用は望ましいことが判明した。
|