平成10年度は、鹿児島県下の96市町村において、昭和35年以降地域コミュニティ施設が設立された状況をアンケート調査を行い、施設の変容課程を分析した。調査項目は(1)施設名(2)開所(完成)年月日(3)延床面積(4)資金源(補助事業・起債等)(5)部屋の種類と数(6)利用事例である。分析の結果は以下の通りである。 施設設置数は、昭和37年から始まりその後徐々に増え続け、昭和49年には年間27の施設がつくられた。当時、主となる施設は公民館を中心とした文教・集会施設や福祉センターなどの厚生施設であった。昭和50〜52年の3年間では、施設数は急激に落ち込み、年間15程度しか建てられていない。これは、この2年ほど前に起こったオイルショックの影響で公共事業の削減が影響したものと考えられる。昭和53〜57年は過去38年間で最も多く施設が建設され、年間で建設数30を超えている。その中でも昭和56年が最も多く、農村集会施設の急激な増加がその原因である。農村環境改善センターなど農村集会施設の多くは「農村総合整備モデル事業」の補助事業を利用して建設されている。昭和57年以降、文教・集会施設や厚生施設の整備数の低下に伴い、全体の施設設置数は減少傾向となり、平成2年までは平均20施設くらいの時期が続いた。平成3年から施設設置数は一転して増加し、現在に至るまで年間25から30施設程度建設された。主として、スポーツ施設や音楽ホールを中心とした文化施設、以前にほとんど見られなかった産業・商業施設やその他に含まれる温泉施設や交流施設が建てられている。この時期から市町村の単独による事業や、単独資金と起債を併用した事業が増え、自治体独自による活性化の動きがあるといえる。さらにごく近年では、多くの機能を併設・複合して施設が大規模化している。
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