平成12年度は、平成10年度に調査した地域コミュニティ施設の位置と町丁別人口を人口規模に対応した円の大きさとして、ArcViewという市販のGISソフトを利用して地図上に落とし込んで行った。これが基本的に地域コミュニティ施設のGISデーターベースとなるものである。ついで平成11年度に設定した広域圏域を対象にして、地域コミュニティ施設の種類別に地図上で利用圏域を設定した。利用圏域の設定に当たっては、地理学で使用される「ボロノイ図」の手法を用いた。この「ボロノイ図」は、以下2つの空間行動仮説が前提となるモデルである。(1)施設の利用者は居場所から最も近い距離の施設を利用する。(2)施設利用者は施設までの距離を直線で判断する。この荒っぽいモデルを用いた理由は、鹿児島県のようなローカルな地域では、地図そのもののソフトに、道路や利便施設などが未だ入っていないため、大都市のような効率的な利用の仕方ができないためである。 以上のような手順を踏んで、以下のような操作を行った。ある広域圏域内の一つの町に図書館が設置されていない場合、図書館機能を町民センターに付加し、近くの町の図書館分館とした場合、利用圏域がどのように変わるか地図上に示した。一方、ある町に設置されている古くて小規模の公民館を廃棄した場合、利用圏域がどのように変わるか地図上に示した。以上のようなデータベースを構築した結果、人口の分布状況と施設の配置状況が画面上で一覧でき、施設の廃止統合や新設後の利用圏の変化が視覚的に捉えることが可能になった。現在市販の地図ソフトのデータ量が少ないため、中途半端なデータベースではあるが、データ量が増えればもっと利用しやすいものになるであろう。
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