鹿児島県下の96市町村において、昭和35年以降地域コミュニティ施設が設立された状況をアンケート調査を行い、施設の変容課程を分析した。施設設置数は、昭和37年から始まりその後徐々に増え続け、昭和49年には年間27の施設がつくられた。昭和50〜52年の3年間では、施設数は急激に落ち込み、年間15程度しか建てられていない。昭和53〜57年は過去38年間で最も多く施設が建設され、年間で建設数30を超えている。昭和57年以降、全体の施設設置数は減少傾向となり、平成2年までは平均20施設くらいの時期が続いた。平成3年から施設設置数は一転して増加し、現在に至るまで年間25から30施設程度建設された。この時期から市町村の単独による事業や、単独資金と起債を併用した事業が増え、自治体独自による活性化の動きがあるといえる。次に、市町村間の結合力をもとに、人口規模、面積規模および結合力の指標を用い広域圏域を仮定した。分析の結果、整備のみられない施設や整備指標の低い施設は広域圏域を形成することでその指標が高くなる例や偏った施設整備が広域化により改善される例が多くみられた。また逆に広域化による整備指標の低下もみられた。ある広域圏域内の一つの町に図書館が設置されていない場合、図書館機能を町民センターに付加し、近くの町の図書館分館とした場合、利用圏域がどのように変わるか地図上に示した。一方、ある町に設置されている古くて小規模の公民館を廃棄した場合、利用圏域がどのように変わるか地図上に示した。以上のようなデータベースを構築した結果、人口の分布状況と施設の配置状況が画面上で一覧でき、施設の廃止統合や新設後の利用圏の変化が視覚的に捉えることが可能になった。現在市販の地図ソフトのデータ量が少ないため、中途半端なデータベースではあるが、データ量が増えればもっと利用しやすいものになるであろう。
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