今年度は、昨年までに行った三重県阿児町国府地区、島根県大社町鵜鷺地区の高齢者居住の実態調査、隠居慣行による多世代居住の実態調査の結果を整理・分析すると共に補足調査を実施した。 国府地区の調査結果からは、この地域固有の隠居慣行が現代においても維持されていること、このような隠居制は、老若両世帯から高く評価されており、現代農村における二世代居住、高齢者居住におけるモデル性が認められることが明らかになった。 一方、鵜鷺地区の調査結果からは、都市転出者の老後の帰還が顕著であること、帰還者は地域コミュニティに違和感なく入り込んでいること、この地域では家族を超えた高齢者の扶助システムが存在していることが明らかになった。また母村流出者の多くは、地域との交流意向や自らの母村の土地財産を使った地域環境整備に対する協力姿勢があることも確認された。 今年度は研究の最終年度である、上記の調査結果のまとめに加え、これまでの研究成果を報告書としてまとめた。
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