東京郊外の「山の手」住宅地は、昭和初期に建設された郊外住宅地をモデルとして、第二次世界大戦後、一戸建て専用住宅による住宅地の建設が行われ、大都市郊外住宅地の典型となっている。 平成10年度は昭和初期に建設された住宅地において、そこに昭和初期から住みつづけている家族の住生活や住宅の変化について調査分析を行った。続いて、平成11年度はこうした昭和初期に建設された住宅地の住宅更新の実態を把握し、住宅地の住環境の変容と、住宅更新の要因を分析した。 平成12年度は首都圏の一戸建て住宅地の現状を把握するために、住宅統計調査(1998)の分析を行っている。一戸建て専用住宅の割合の高い市区町村を抽出し、敷地規模や延べ床面積などの住宅条件と、家族構成、年齢構成、高齢化や住宅の老朽化などについて分析している。また、昭和40年代以降の大規模住宅地開発に注目し、公的開発と民間開発による住宅地での住環境水準の相違や、その水準維持のための方策などについて、検討を行った。その事例として、神奈川県横須賀市湘南鷹取地域の開発規制等とその後の住環境変化について調査するとともに居住者の意識調査を実施し、良好な住環境を維持保全していくための条件を整理している。
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