研究概要 |
自宅での葬儀ばなれが激しいといわれている。本来血縁的、地縁的な関係で葬儀が執り行われて来た。しかし、それらの関係が崩れて来た証しとして、葬儀社主体の斎場への流れを見ることができる。しかし、神戸の大震災にも見られるように、住んでいる人達のコミュニテの在り方を再度問われているように思える。 住宅団地や町内会に設けられる集会施設、一定の地域を対象とするコミュニティセンターなど、地域に密着した施設が多様に存在している。本研究は、コミュニティ活動の基幹となる活動としての葬儀に注目して、葬儀をとおして、それらの在り方を再検討しようとすることが本研究の目的である。その結果得られる知見は、専用葬儀場の計画指針や地域集会施設での葬儀利用の条件とその計画指針であろう。 初年度である平成10年度は、葬送動向の把握に主眼を置いた。全国各地を対象に、葬儀が行われる場所の動向を捕らえるため、新聞死亡記事に注目した。各地の地方紙など10紙程度を抽出し、時代の変化を含み、組織的に収集した,しかも時代的な、大きな流れを把握することから分析を始めた。そのために分析は1913年から1998まで85年間の葬送の変化に迫ってみた。データは朝日新聞(東京版)とし10時点で死亡記事をそれぞれ100例で合計1000点の記事を分析する。それに新聞記事の位置づけとして都内の葬儀業者の協力を得て、葬儀受付簿からのデータとの比較検討を行った。その結果動向をさぐるには新聞木記事の有効牲が確認された。掲載された故人の属性、葬儀を執り行う場所、死亡した場所、葬儀関始の時刻、葬儀そのものを行わないこも含め葬儀式の形態の変遷を明らかにした。
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