自宅での葬儀ばなれが激しいといわれている。本来血縁的、地縁的な関係で葬儀が執り行われて来た。しかし、それらの関係が崩れて来た証しとして、葬儀社全体の斎場への流れを見ることができる。しかし、神戸の大震災にも見られるように、住んでいる人達のコミュニテの在り方を再度問われているように思える。住宅団地や町内会に設けられる集会施設、一定の地域を対象とするコミュニティセンターなど、地域に密着した施設が多様に存在している。本研究は、コミュニティ活動の基幹となる活動としての葬儀に注目して、葬儀をとおして、それらの在り方を再検討使用とするものである。その結果得られる知見は、専用葬儀場の計画指針や地域集会施設での葬儀利用の条件とその計画指針に寄与する。 これまでの研究実績は以下の通りである。まず、葬送動向の把握である。全国各地を対象に、葬儀が行われる場所の動向を捕らえるため、新聞死亡記事に注目する。各地の地方紙など10紙程度を抽出し、時代の変化を含み、組織的に収集し分析する。その中から葬送に関与する施設を抽出し、施設の概要を把握した。次に東京都区部を対象に、地域に密着する型の施設整備の方針、具体の事業や、それによって造られた施設を把握した。ヒアリングで場所、目的、計画の時期、規模、利用内容、葬儀利用の有無などを明らかにした。さらに、都下の町田市、武蔵野市の事例について、建設のプロセス、設置・運営の実態、実際の使われ方を現地での綿密な調査を行い、そこでの課題を抽出した。
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