本研究は、葬送をコミュニティにおける基幹となる活動であると捉え、そのあり方を施設計画の面から考察したものである。 前年までの研究で全国を対象に葬儀場所を中心にその動向を歴史的な経緯も踏まえて明らかにした。新聞の死亡記事に注目し過去85年間の10時点で分析した。その結果、(1)葬儀の場所は自宅から専用葬儀施設へ、葬儀社主導の葬儀へ(2)斎場の激増に伴う葬儀場所の分散化(3)葬儀にかかわる時間の短縮化、効率化(4)儀式のしかた、その形式の多様化などの傾向が明らかになった。 ついでコミュニティ関連施設についての、行政側の整備状況について東京都を対象に調査した。その結果、葬儀の利用可能な施設については地元に管理運営を任せ、建設時に助成をする形が一般的であることが明らかになった。 本年度はコミュニティ関連施設と葬儀式場をもつ火葬場もふくめてヒアリング調査を行った。高齢化社会で介護の在宅化、病院死から地域での看取り願いの延長としての葬儀のあり方が明確になってきた。 コミュニティ関連施設の基幹的な利用としての葬儀が、その人らしい展開が可能な空間の確保が求められる。さらに、それに繋がる火葬、墓地などとの関連の中で新しいかたちを模索されそうである。
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