現代の日本の社会が、高齢化、少子かの中で、葬送についても大きな転換期に差し掛かっているといわれている。自宅での葬儀激減している。本来血縁的、地縁的な関係で葬儀が執り行われて来た。しかし、それらの関係が崩れて来た証しとして、葬儀社主体の斎場への流れを見ることができる。しかし、神戸の大震災にも見られるように、住んでいる人達のコミュニティの在り方を再度問われているように思える。住宅団地や町内会に設けられる集会施設、一定の地域を対象とするコミュニティセンターなど、地域に密着した施設が多様には存在はしている。 これに応えるために本研究では、コミュニティ活動の基幹となる活動としての葬儀に注目して、葬儀をとおして、それらの在り方を再検討使用とするものである。その結果得られた知見として(1)葬祭活動の動向を時間軸も含めて分析する。(2)地域集会施設での葬儀利用の条件のため計画プロセスを明らかにした。この研究の独創的な点は、従来の地域密着型の施設については、社会教育活動や、文化的目的での、いわば生きている人達の活動にのみ注目されてきていた。本来のコミュニティ活動として葬儀に焦点をあてることにより、基本となる地域施設の在り方が解明できることにある。 第一部で、新聞死亡記事の85年間にわたる分析のもとにその動向をあきらかにした。第二部で、東京都内での地域施設に注目しその建設経緯から論じている。なお、末尾に本研究の成果や、関連する内容で外部に公表した論文を添えた。
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