研究概要 |
1.ハウジング・アソーシェーション(HAと略す)の調査の背景として、イギリスの都市における住環境整備の経過について、歴史的な検討を行った。そのうちリーズ市の事例について研究発表した。(他の都市、バーミンガム市については既に発表済) リーズ市では、大量の「バック・ツー・バック」住宅が供給され、その影響で住宅政策が、絶えずクリアランスと改善との2つの政策を取らざるを得なくなり、その結果は、現在のHAの活動に反映していることを示した。 2.HAの一般的な性格は,歴史的には救貧施設の提供であったが、中央政府の政策により、地方政府の住宅供給(公営住宅)に代って,HAの住宅供給と管理に重点が置かれることとなったこと。1998年以降の民間資金の導入政策で、HAは大量の資金を得たために,HA住宅の供給量は急増したが、その反面住宅の家賃が高騰し、低所得層の住宅としての役割を果たすことが出来なくなったこと。そのHAに対して地方政府は、土地提供や資金援助と引き換えにノミネーション・ライトという権利を獲得し、低所得層の住宅に適したアフォーダブル住宅の供給をHAに約束させるという手段で、この自体に対応していること。さらに地方政府は中央政府機関であるハウジング・コーポレーション(住宅金融公庫HCと略す)と協議してHAの住宅供給計画をチェックし、中央政府の支配に対抗していること、等を明らかにした。
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