スペースブロックとイベントピクトグラムの概念を使って設計手法を開発してきた。国内外のデパートの調査を行い、この枠組みを用いてデータベースを作成した。さらにこの方法を利用して、商業空間における、経路探索(wayfinding:目的地を目指して移動する行動)を考慮した空間デザインのためのビジュアルなガイドブックを作成した。 1)デパートデータベースの作成 これまでに収集した国内外のデパートのフロアガイドを元に、売り場や各種コーナーからなる断面構成についてのデータベースを作成した。それぞれのフロアガイドは独自の命名方法をとることが多いため、統一して比較できるよう50種類の分類を提案し用いている。また、商業施設は変化が速いため、学生の協力を得て臨時更新できるようインターネットを利用した形式とした。 2)スペースブロックとイベントピクトグラムによる場面の表記方法の提案 提案した50の分類を、デパートにおけるイベント(行為や偶発的出来事)の名前と捉え、イベントピクトグラム(イベントを絵文字として表記する方法)によって表記した。これらと、まとまりをもった内部空間を表すスペースブロックとを組み合わせてデパートのさまざまな場面を表す方法として整備した。 また、既に実施したデパートのイメージに関するアンケート調査から得られた、デパートの典型的断面構成に対してもこの方法を適用した。さらにデパート以外の商業施設のうち、データを収集したものに対しても適用を試みた。 3)経路探索を考慮した空間デザインのためのガイドブックの作成 これまでに収集したデパートにおける経路探索行動のデータと上記データベースを利用して、経路探索場面をスペースブロックとイベントピクトグラムによって表記した。この視覚的にわかりやすい表記法を利用して、デザイン上考慮が必要な点をまとめたガイドブックを作成した。
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