本研究はノーマライゼーションの理念に基づき、居住・福祉サービスの小規模分散配置、家庭的空間・環境条件整備の視点から各種グループホームと居住型社会施設福祉の存在形態と改変方向を明らかにすることを目的としている。 本年は昨年度実施した郵送アンケート調査(東北6県の居住型各種社会福祉施設・老人保健施設分野全施設を対象、有効回収数606例 回収率60.1%)の分析をさらに深めるために典型例の平面図等の資料収集を行なった。居住者の主体条件(年齢・性別・介護程度)の類型化を基に居室構成との関係をみると、全体では生活集団を棟単位、フロアー内、建物の階でグルーピングしている動向、性別中心に小集団化している傾向が把握できた。また、施設種間の共通性とともに個室化が先行している施設、小グループ化を優先している施設等施設設置主旨や制度的な諸条件に想定されながらも変革を試みている各施設個別の特性を整理できた。 脱施設化の流れの中で実践が拡大しているグループホーム的居住状態について、先駆例の訪問調査を実施した。その知見を基に宮城県内の知的障害者グループホームの調査を実施し、県内73ホームの地域配置、居住者主体条件と利用圏、空間条件、世話人、バックアップ施設との関係などを把握した。その結果、居住型施設中心のバックアップ体制に規制されたホームの地域偏在傾向、男性中心の利用者像と女性別居世話体制、既存住宅や公営住宅の活用などの特性が明らかとなった。 地域展開を実践している宮城県ほたる学園を対象としてケーススタディを実施した。施設→自立訓練棟→自立ホーム→グループホームの利用者自立プログラム内容、各居住空間の使い方、住み方を調査しグループホーム的居住機能の有効性と問題点の所在を把握した。
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