本研究の成果として、2000年2月には、鎌倉の神奈川県立近代美術館において、DOCOMOMO20JAPAN展を開催することができた。また、年度末の2月18日には東京読売ホールにおいて同展を巡るシンポジウムを開催することができた。申請者は同展の実行委員長として、また、同シンポジウムの司会として、これらの試みに関わった。 実際の近代建築保存の側面においては、1999年に東京の瀬田から深谷市に移築されたレンガ造建築の誠之堂およびコンクリート造の清風亭の工事が完成した。また東京丸の内の日本工業倶楽部会館の保存方針が定まり、工事が開始されることになった。さらに東京永田町の首相官邸の首相公邸化への検討も開始された。これらの事業に、申請者は実施委員会、検討委員会の委員長あるいは座長として参加することができた。こうした現実の事業遂行に当たって、本研究の成果は大きな役割を果したし、こうした研究の基盤がなければ、それら事業の推進も難しかったであろうと考えている。 成果の公表は、DOCOMOMO展カタログに一部なされたが、今後、移築保存事業の報告書等のなかに論文として公表する予定である。 今後とも、さらに近代建築保存の実例に則した理論研究を進める必要がある。
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