初年度は全国を対象とした住宅組合の基礎文献資料の収集を行い、住宅組合法の成立から廃案に至るまでの実施過程と全国における組合の設立状況を明らかにした。 2年度では六大都市における主要図書館・文書館を踏査して、住宅組合に関する原史料について確認し、住宅組合の実施状況を把握し、各都市における実状を明らかにした。主な図書館・文書館は次の通りである。 ・東京都-国立国会図書館、東京中央図書館、東京都公文書館 ・横浜市-横浜市立図書館、神奈川県立公文書館 ・名古屋市-名古屋市立市政資料館、愛知県立公文書館、愛知県立西図書館 ・京都市-京都府立公文書館、京都市総務局総務課情報公開課 ・大阪市-大阪公文書館、大阪府立総合図書館 ・神戸市-神戸市公文書館、神戸市市政情報室、神戸市立中央図書館 3年度は震災で被害を受けた横浜市及び軍都であった横須賀市の実態を明らかにした。また、神奈川県公文書館には住宅組合資金を利用した県内の組合の住宅図面が残されており、それらの史料をもとに横須賀市において組合員住宅の実測調査を行った。 最終年度は横浜・名古屋・大阪・神戸における市議会資料を調査し、各都市において住宅組合に関してどのような議論がされていたか、その衰退していく様子を明らかにした。 ちなみに今回の調査で発見できた資料については当初の予想をはるかに越え、今後も検証を加えていく必要がある。たとえば、神奈川県公文書館では多くの図面史料が見られるため、これら組合員住宅を通して、震災復興後の庶民住宅を検証するといった研究の展開が可能である。
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