研究概要 |
本研究は光→熱変換と熱→電気変換の機能複合による新しい太陽光→熱→電気エネルギー変換機能膜の創製を目指している.この高次機能発現の鍵はメゾスコピック・スケールでの膜中ナノ構造形成・制御にある。 先ず光→熱変換膜として、Ag,Au,Ni,Pt=Mを対象とし,MgO/M/Mg O積層膜をスパッタ条件(M膜厚:1〜数nm、ガス圧、基板温度)を変化させ成膜し、金属微粒子の分散構造、形態分布を調べた。更に可視光領域における反射率、透過率測定を行い、更にハロゲンランプ光照射による温度上昇試験を行いAgの微粒子分散膜が光熱変換特性に優れていることが分かった。此れを更に多層膜化することで光熱変換効率が40%を越えることが示された。 熱→電気変換膜としてFe-Si二元系薄膜について系統的に調査を行った。SiとFeセクターの複合ターゲットによるアモルファススパッタ合金膜を作製し此れを真空中熱処理することで結晶化させ、その過程を電気抵抗率変化として捕らえた。ゼーベック係数の組成依存性を調べFeSi_2よりFe富組成にずれて極大値があることを確認した。その膜はβFeSi_2相にεFeSi相が混在した膜となっていた。更にCo、Crをドーピングすることでp型、n型半導体とすることができ、且つ、ゼーベック係数絶対値の最大値をより低温側に移動させることができることが分かった。また膜の結晶粒径制御の目的でBドーピングを行い結晶粒の微細化が可能であることを確認した。この結果は熱電材料評価の目安である性能指数に含まれる熱伝導率のフォノン散乱分を増大させる効果があるものと期待される。
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