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1999 年度 実績報告書

陽電子寿命測定と透過電子顕微鏡による極微小点欠陥集合体の構造と型の判定

研究課題

研究課題/領域番号 10650650
研究機関広島大学

研究代表者

福島 博  広島大学, 工学部, 助教授 (70156769)

キーワード陽電子消滅法 / 透過型電子顕微鏡法 / 格子欠陥 / 点欠陥集合体 / 照射損傷 / 低温照射
研究概要

(1)陽電子寿命測定
平成10年度に購入して組み立てたクライオスタットと現有の陽電子寿命測定装置を用いて、6Kで5x10^<21>n・m^<-2>及び1x10^<22>n・m^<-2>の中性子照射を行い液体窒素温度で保存してあった銅の試料を使って、90Kから1000Kまで25度30分間隔の等時焼鈍を行った。この結果、原子空孔が熱的に移動できない温度では、高エネルギーのカスケード損傷が形成された後の冷却期間に集まった原子空孔の集合体は、所謂カスケード・コラプスによって潰れているか緩和した形態をとっていることが明らかになった。従来の室温照射で認められたマイクロボイドは、この様な過程が終了した後の、原子空孔の熱的な移動によって形成されたと結論できる。
(2)透過電子顕微鏡(TEM)の実験と像の計算
上記の条件で照射した試料については観察を行っていないが、20Kで銅をTEM内のその場で中性子を模擬した銅イオンで照射し、回折条件を変えながら弱ビーム暗視野像のコントラストの変化を捕えた。イメージング・プレート(IP)の像と計算の比較はできなかったが、格子間原子の熱的移動を考慮した型の判定を行った。格子間原子型と原子空孔型の集合体が認められたが、双方の像の判別法を確立するには至っていない。
(3)陽電子寿命測定と透過電子顕微鏡(TEM)像の結果の比較
低温での格子間原子集合体の消滅に伴う、TEM像と陽電子寿命測定の結果から、陽電子が格子間原子型ループの転位成分に捕獲されていることが明らかになった。(1)で述べた、緩和した形態の原子空孔の集合体は、TEMでは積層欠陥四面体とループが認められるだけで、マイクロボイドの緩和した形態は捕えられていない。
(4)応用
現在、シリコンについて同様の研究を始めたところで、これにより半導体材料のイオン注入で作られる素子の欠陥の解明が進むと考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] M.L.Jenkins,: "On the Application of the Weak-Beam Technique to the Determination of the Sizes of Small Point-Defect Clusters in Ion-Irradiated Copper"Journal of Electron Microscopy. 43・4. 323-332 (1999)

  • [文献書誌] M.A.Kirk,: "The Search for Interstitial Dislocation Loops Produced in Displacement Cascades at 20K in Copper"Journal of Nuclear Materials. 276. 50-58 (2000)

  • [文献書誌] 福島博: "カスケード損傷欠陥と透過電子顕微鏡法"まてりあ. (in press). (2000)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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