研究概要 |
「赤外線加熱単結晶製造装置」による浮遊帯精製法で,99.999%のアルミニウム素材の純度を1桁上げることに成功し,単結晶を得ることもできた。しかし,この方法で処理できる素材は,直径8mm長さ100mm程度のものであり,溶解中の真空度も最高10^<-4>Pa程度であるため,更に大量でしかも超高純度のアルミニウムを精製するために,超高真空溶解炉による精製を行った。 超高純度化のためには,素材表面の汚染は無視出来ない。そのため,精製前の表面処理条件の確立を目指した。本年度設備備品費で購入した「電解研磨装置」を用い,表面の清浄化を行った。素材のアルミニウムを過塩素酸とエタノールの混合液中で電解研磨し,蒸留水,エタノール,アセトンの順に洗浄し,その表面付近を「プラズマ固体発光分析装置」で分析した結果,表面には主に炭素,硫黄等が厚さ約5nm付着していた。この程度の付着層であれば,超高純度化には問題無いので,表面処理方法を確立できた。 表面を清浄化した素材は,「超高真空溶解炉」で溶解した。素材の形状は直径60mm長さ100mmの円柱で,これをコールドクルーシブル内で高周波加熱による浮揚溶解を行った。溶解は真空度2×10^<-7>Paで約1時間行った。溶解後は徐々に冷却し,結晶の粗大化を計った。その結果,素材の抵抗比約5000に対して,約20000のアルミニウムを精製できた。この純度向上は約1.5桁に相当する。また,溶解後は一部に直径約60mm長さ約50mmの粗大化した結晶粒が形成されており,本研究の目的の1つである高完全度化も目途がついた。
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