研究課題/領域番号 |
10650657
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研究機関 | (財)国際科学振興財団 |
研究代表者 |
奥田 重雄 財団法人 国際科学振興財団, 研究開発部, 専任研究員 (50111365)
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研究分担者 |
稲見 隆 茨城大学, 工学部, 講師 (20091853)
小桧山 守 茨城大学, 工学部, 助教授 (80007830)
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キーワード | ナノ結晶 / 金 / 銅 / 機械的性質 / 熱的安定性 / ガスデポジション法 / 微小硬度 |
研究概要 |
前年度に引き続き、ガスデポジション法によって製作した金ナノ結晶について作製条件および作製後の焼鈍温度による粒径、内部歪、結晶方位分布、機械的性質などの研究を進めた。この過程で、熱的安定性を決める重要な因子と考えられる初期粒径が、蒸発室の金の溶湯の蒸気圧と関係が深いことを示唆する実験結果が得られた。しかし金の蒸気圧を広範囲で変えるためには現有装置の高周波電源の容量が不足していることがわかった。現在の電源容量で溶湯の蒸気圧を比較的広範囲に変えられる金属は蒸気圧の高い銅であり、銅は粉末圧縮法で作製したナノ結晶についての研究も多い。このため、初めに計画していたパラジウムを銅に変更した。銅ナノ結晶についての研究はまだ進行途中であるが、これまでの結果は以下の通りである。銅ナノ結晶は初期粒径20〜100nmのものについて測定したが、金の場合と同様に(111)が膜面に平行の選択方位を示す試料のほかに、金では見られなかった(100)選択方位のものもできた。また、金と比較して熱的に不安定であり、粉末圧縮法で作られた試料とかなり似ており、〜200℃の焼鈍でかなり結晶粒成長が進むことがわかった。銅では粒表面の微量の酸化は避けられないので、熱的により安定になるという予想と逆の結果である。又、内部歪は金の場合とあまり変わらない。一方、硬さは金よりもさらに高いが、100〜200℃の焼鈍で急速に減少した。現在、銅についても金と同様に熱的に安定なナノ結晶を作るための条件を探している。さらに、熱的安定性は粒界構造に関係していると予想されるので、ナノ結晶の粒界の擬弾性的性質の研究も計画中である。
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