研究課題/領域番号 |
10650662
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
神谷 秀博 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 助教授 (20183783)
|
研究分担者 |
堀尾 正靭 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 教授 (40109301)
|
キーワード | 表面改質 / シリカ / アルミナ / SiC / 凝集・分散 / DLVO理論 / 立体障害 / 高分子分散剤 |
研究概要 |
セラミックス原料粉体であるアルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素微粒子を対象に、疎水基/親水基比の異なるポリカルボン酸アミド系高分子分散剤を用い、各粉体への作用機構と凝集・分散状態に及ぼす影響を原子間力顕微鏡(AFM)による微視的手法とスラリーの巨視的評価法によって解析した。アルミナについては、スラリー粘度を最小化し立体障害斥力を極小化する親水基/疎水基比は30/70程度であった。粒子表面への分散剤吸着は親水基であるが、親水基が過剰であると粒子分散効果を大きくする分散剤のループ・トレイン吸着構造が形成できなくなるためと考えられる。この吸着構造はpHに依存し、粒子表面が+に帯電するアルミナ粒子の等電点(pH=9〜10)より低いpHでは、吸着構造が平板状になるため立体障害効果が弱まった。一方、表面が疎水性である炭化ケイ素は、親水基10%程度の条件が最も低粘度であり、疎水吸着は酸化物表面への親水基の吸着に比べ弱いため、疎水基の量が多くないと分散効果が弱いことが確認された。また、窒化ケイ素は、一般に酸化物系の焼結助剤を添加するため、窒化ケイ素単独の系と添加物を混合したへテロ凝集系で分散剤の作用機構を検討した。その結果、窒化ケイ素表面に分散剤は親水基で吸着するが、その吸着力は弱く、窒化ケイ素にヘテロ凝集した酸化物表面に強く吸着して分散効果を示していることが確認された。以上の様に、粒子と分散剤の組み合わせによる作用機構の変化を体系的に検討した。さらに、新たな評価法としてAFMの探針先端に数μm程度の球形粒子を接着して測定するコロイドプローブの簡便な作製システムを完成させ、同種および異種物質間の液中作用の測定を可能とした。
|