平成10年度に得た研究成果を以下に示す。 C_<60>結晶で光照射すると微小硬さが硬化する現象がある.その硬化の原因としてふたつの可能性が考えられる。ひとつは酸素の影響、もうひとつは光誘起ポリマーの影響である。そこで、本研究はフラーレン結晶のC_<60>結晶とC_<70>結晶をもちいて微小硬さの酸素と光の影響について調べた。 (1) C_<60>結晶では10^<-6>Torr.の真空中で光照射した結果、光照射硬化が観測された。 (2) C_<60>結晶で光照射硬化の励起波長依存性を測定した結果、光誘起ポリマーが生成される波長とその依存性が一致した。 (3) C_<60>結晶ではC_<60>薄膜で観察されているような酸素による光誘起ポリマーの生成の凍結が見られなかった。 以上の結果より光照射硬化は酸素よりむしろ光誘起ポリマーに起因するものと考えられる。 また、C_<70>結晶においても微小硬さ試験が行われた。その温度依存性は温度の増加にともない硬さも増加し、一般的な挙動を示した。光照射に関してはC_<70>結晶も長時間照射によって硬くなることがわかった。このことからもC_<70>結晶でも光照射硬化が現れることがわかった。
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