研究概要 |
本年度はC60結晶の光照射硬化の原因となる光生成物のラマン分光による同定とC70結晶の光照射硬化について研究しその成果を得たので報告する。 光照射硬化の原因となるC60結晶とC60薄膜の光生成物についていろいろ議論があり未解決の部分があった。そこでC60結晶の光照射時間に関してラマン振動数の変化を測定した結果、intrinsicな1469cm^<-1>のピークは光照射時間とともに 1465、1464,1460cm^<-1>へと変化した。このことはC120、C120O_2、などを経て光誘起ポリマーに変化することがわかった。結果として光照射硬化はこれらの光生成物と転位との相互作用によるものと結論された。C60薄膜について光照射時間の関数としてラマンピークのシフトを観察した結果、1460cm^<-1>から1469cm^<-1>への変化が観察され結晶とは逆なシフトをした。そこでAFM観察を行った結果、薄膜表面起状の変化が観察された。このように結晶と薄膜では光照射生成物に違いがあるものと考えられる。 また、C70結晶の光照射硬化を研究するためにC60結晶と同じような実験を行った。その結果、C60結晶の10倍近い照射時間によって光照射硬化が観察された。このことからC70結晶でも光生成物が形成されることがわかった。
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