研究概要 |
沈殿法で硝酸セリウムなどから無添加CeO_2,Nd添加CeO_2などを合成し、粉体あるいは焼結体について水熱処理の影響、加熱変化、格子定数測定、密度測定などの評価を行い、さらに酸素拡散係数、表面拡散係数、相互拡散係数を決定した。添加量を変えてNd添加CeO_2の500℃における水熱処理を行い、水熱後の粒子の大きさがNdの添加量に依存することが分かった。この原因を調べるため溶解実験を行った結果、溶解量が多い組成ほど水熱処理後の粒径も大きいことが明らかとなった。空気中での加熱による粒径の変化では、粒成長をおさえる方法のあることが判明した。Nd添加CeO_2の格子定数の加熱温度及びNd添加量依存性を調べた結果、ベガード則に従っていること、500℃でもNdが35%ほど固溶することなどが明らかとなったが、密度測定の精度が高められず、点欠陥の種類は判定できなかった。高純度無添加CeO_2の酸素拡散を広い温度範囲で測定し、そのアレニウスプロットが高温領域と低温領域に分けられた。高温領域は内因的領域であり、低温領域は外因的領域であった。Nd添加CeO_2酸素拡散はY添加CeO_2やGd添加CeO_2の酸素拡散に近い値であったが、活性化エネルギーは少し小さいものであった。無添加CeO_2の表面拡散係数を初めて測定し、他の物質のものに近いことを明らかにした。Y添加CeO_2とY添加ZrO_2の拡散対で求めた相互拡散係数はこれらの酸化物中の酸素拡散係数より小さく、Ca添加ZrO_2中のZrの拡散係数に近いものであった。
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