本研究では、ナノレベルでの構造制御によるマトリックス樹脂の改質により、さらに複雑系となるマクロな構造を持つガラスクロス強化複合材料の層間破壊靭性向上を目指した。得られた研究成果の概要は以下の通りである。 1)ナノレベルでの構造制御が可能な熱可塑性樹脂としてポリ塩化ビニル樹脂が有効であることを明らかにした。 2)繊維/樹脂界面強度の発現には、界面での反応性を均一化することが重要であり、界面周りの高分子の分子量が母材と一定の絡み合いを持つレベルになければならないことが明らかとなった。 3)多相系高分子の界面強度は、それらのじん性発現機構と十分関与することを明らかにした。 4)高強度・高靭性ガラスクロス強化複合材料の創製を実現するには、ナノフィラー制御により層間樹脂領域を強靭化することが有効であることが見い出された。 5)熱処理によりナノレベルでの界面構造制御が可能であることが示された。
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