研究課題/領域番号 |
10650675
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
鞠谷 雄士 東京工業大学, 工学部, 助教授 (70153046)
|
研究分担者 |
伊藤 浩志 東京工業大学, 工学部, 助手 (20259807)
塩谷 正俊 東京工業大学, 工学部, 助教授 (10196363)
|
キーワード | 芯鞘型繊維 / マルチ型繊維 / 溶融紡糸 / 繊維強化複合材料 / 熱可塑性液晶ポリエステル / ポリプロピレン / 力学挙動 |
研究概要 |
芯鞘型繊維及び多数の細い連続繊維がマトリクス樹脂中に埋め込まれた複合繊維を用いて、繊維強化複合材料を作製し、複合繊維の断面構造が紡糸挙動、複合繊維および複合材料の力学挙動に及ぼす影響につき検証した。実際には、芯成分に熱可塑性液晶ポリエステル(TLCP)であるpoly(p-hydroxybenzoicacid-co2hydroxy-6-naphthoicacid)、鞘部にポリプロピレン(PP)を用いて複合繊維の溶融紡糸を行い、形状の異なる2種類のノズルを用いることで芯鞘型繊維及び261本の細い連続繊維がマトリクス樹脂中に埋め込まれた複合繊維(以下、マルチ型繊維と呼ぶ)を作製した。紡糸過程の細化挙動を計測したところ、マルチ型繊維の方がわずかに細化が遅れることが明らかとなった。これはノズル直下における複合繊維中のTLCPの配向性が高いためである。しかし、得られた複合繊維について、広角X線回折及び力学的性質を解析した結果では両者に特に差は見られなかった。また、複合繊維を凹凸金型内に一方向に配列させ、PPの融点以上、TLCPの融点以下の温度で圧縮成形することにより、鞘成分のみを融解させ連続繊維強化複合材料を作製した。これらの繊雑から作製した複合材料の3点曲げ試験を行い、芯鞘型繊維とマルチ型複合繊維複合材料の挙動を比較すると、曲げ弾性率、曲げ強度はほぼ同じ値を示している。しかし、最大荷重以降の挙動に明らかな違いがみられ、マルチ型繊維に比べ芯鞘型繊維は徐々に荷重が減少していくことが分かる。また、複合材料の引張試験においても引張弾性率、引張強度はほぼ同程度であったが曲げ試験と同様、破壊挙動に違いが現れた。破壊部分の観察結果より、曲げ試験、引張試験ともに試験後の複合材料片に破壊部分の違いが現れており芯鞘型繊維は延性的、複合繊維は脆性的な破壊挙動を示した。
|