研究概要 |
カーボンファイバーを用いた複合材料については引張り強度をはじめ,ヤング率,剛性率など機械的特性評価は多くの研究者によってなされている。また,カーボンファイバーの複合強化材は異方性が著しく,繊維の配向角度が繊維軸に対して少しずれていても強度は低下する。Mandersらは繊維束を樹脂に含浸し,その試験片の引張り方向と繊維軸とのなすずれ角が強度に及ぼす影響について報告している。しかし,ファイバー又はウィスカーにねじれが生じている複合材の場合,それらのねじれ歪が複合材の強度に及ぼす影響についての報告はまだなされていない。さらにセラミック単繊維の引張り強度に及ぼすねじれの影響についての研究は皆無である。これまでに,ねじれと引張りによる複合応力下での金属バルクの理論的破壊のモデル計算^<2)>はすでに報告されているが,銅やアルミニウム細線の降伏応力の研究がなされているにすぎない。その他,セラミック単繊維のヤング率はかなり多く測定されているが,剛性率やポアソン比の測定はほとんどなされていない。今回はピッチ系及びPAN系のカーボンファイバーに関して,後者についてはヤング率と剛性率の測定を行い,この2つの値からポアソン比をもとめた。さらに両者については引張り強度に及ぼすねじれの影響を求め,破壊が表面の応力条件で支配されるとして理論的考察を行った。研究の成果は炭素:195号378-382(2000)に記載されている。
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