研究概要 |
セラミックスや金属間化合物の製造法に,燃焼応用プロセスを利用した合成法がある。最近,これらをマトリックスにした複合材料の合成に本方法が適用され注目されている。本研究では,セラミックス分散軽量耐熱TiAl基複合材料を燃焼プロセスにより合成し,その組織,構造,物性等を評価して開発することを目的とした。 本年度は,マトリックスを元素粉末(Ti粉末およびAl粉末)の燃焼反応で合成できるTiAl(γ)とし,さらにセラミックスの構成元素である炭素粉末により炭化物セラミックスを分散させた複合材料(TiAl/Ti2AlC)を合成した。また,燃焼反応に続きアーク溶解した試料,ならびに上記粉末を用いHIP中で反応焼結させた試料を得て組織観察と機械的性質を評価した。 燃焼反応により得られた焼結体には多量の空隙が存在したが,アーク溶解することにより,マトリックスTiAl(粒径約30μm)に粒子径1〜2μm、長さ5〜15μmのTiAlCが均一に分散した良好な組織状態を有する真密度の複合材料が得られた。また,マトリックスはγ粒とラメラ粒からなるDuplex組織であった。焼純により,ラメラ組織が消失した場所に〜0.5μmの微細なTi2AlC粒子が析出していることが判明した。室温における圧縮強度は800MPa,曲げひずみは〜0.9%を有することが明らかとなった。 つぎに,HIP後のマトリックスは平均20μmのTiAlとTi3Al(α2)からなるDual組織であり,その中に〜10μmのTi2AlC粒子が均一に分散していた。これを焼純することにより,新たに1μm程度のTi2AlC粒子が析出し,マトリックスの一部はラメラ粒を含むDuplex組織に変化していた。さらに,得られた曲げ強度は1200MPa,曲げひずみは0.3%であった。
|