研究課題/領域番号 |
10650683
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
安住 和久 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (60175875)
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研究分担者 |
伏見 公志 北海道大学, 大学院工学研究科, 助手 (20271645)
瀬尾 真浩 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (20002016)
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キーワード | チタン / 不働態皮膜 / 還元性水溶性 / ベントナイト / インピーンダンス |
研究概要 |
中性の各種水溶液中におけるチタンの対環境安定性を調べるため、以下の実験を実施した。純度99.5%のチタン板を機械研摩した試料、および研摩後にアノード酸化処理で酸化物皮膜を生成した試料を用意した。これらを脱酸素剤パックに接続した小型電気化学セルにセットし、pH9.9ホウ酸塩水溶液、pH9.9炭酸塩水溶液、ベントナイト接触水(ベントナイト粉末懸濁液の遠心分離上澄み液、pH約10)中に浸漬した。これを25℃あるいは80℃にて3カ月以上保持し、電極電位およびインピーダンス応答の経時変化を測定した。研摩試料、アノード酸化試料ともに、電極電位は時間とともに貴方向にシフトし、またインピーンダンスの経時変化より表面酸化物皮膜が時間とともに厚くなることがわかった。しかしベントナイト接触水中では、他の溶液中よりも皮膜が薄く、また電位も不安定であった。そこで、各溶液中における酸化物皮膜の安定性を評価する実験を別途行った。チタン上に定電位分極でアノード酸化物皮膜を生成し、その後電位を自然浸漬電位前後に固定してインピーンダンスの経時変化を測定した結果、ベントナイト接触水中では、他の溶液中に比べて皮膜の変質速度が速いことがわかった。またベントナイト接触水および模擬ベントナイト水中で生成した皮膜は、他の水溶液中で生成した皮膜よりも薄く、電子的な性質も異なった。チタンの使用が想定される環境はベントナイト接触水中なので、上記の結果は極めて重要な意味を持つ。ベントナイト接触水および模擬ベントナイト水のどの因子がチタン表面酸化物皮膜の構造および安定性に影響を与えるのか、今後詳細に検討する予定である。
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