研究概要 |
(1)高分解能超音波バッファーロッドの設計製作 鋼およびアルミナを材料として用いた超音波バッファーロッドを設計・製作し,その先端に音響レンズ加工を施した.このバッファーロッドを,冷却機能を備えたホルダーに組み込むことで,溶融金属中での劣悪環境に耐え,かつ高い空間分解能とS/N比を備えた高性能な超音波センサー実現することができた.約600℃の溶融亜鉛中において,ステンレス細線を用いてこのセンサーの空間分解能を調べたところ,超音波は焦点領域においてほぼ一波長程度に集束していることが確認された. (2)オンライン計測システムの開発 リアルタイムでの超音波計測およびデータ処理を行うために高速A/D変換ボードとパーソナルコンピュータを購入し,これを用いたLab View援用オンライン計測システムを構築した. (3)不純物粒子の検出に関する基礎実験 まず,水中でのPVC粒子(30μm,30ppm)の検出を試みた.この結果,個々の粒子からの反射パルス波を明瞭に捉えることができた.この反射パルスの強度とスペクトルから粒子の大きさやクラスタリング状態に関する情報を得ることができた.さらに溶融亜鉛中での不純物粒子(酸化物や金属間化合物)の検出を試みた.その結果,これらの不純物粒子からの明瞭な反射パルスが観察された.このように,ほぼ所期の目標を満足する溶湯中での高分解能超音波計測が実現できた.
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