平成11年度科学研究費の補助によって、亜熱帯海洋性気候下における工業材料の環境評価及び劣化評価に関する研究を行った。本年度は大気暴露試験を中心としてデータをまとめた。大気暴露試験場としては、千葉県の銚子市、沖縄県の宮古島(上野村)、西原(琉球大学工学部キャンパス内)の3ヵ所で、試験材料として、炭素鋼、耐候性鋼、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス鋼(SUS304)の6種類について調査した。 これまでに得られた結果より、暴露7年では鉄鋼系材料では宮古島>銚子=西原の順に腐食が激しく、アルミニウム合金では宮古島>銚子>西原、銅及び亜鉛では宮古島>西原>銚子の順に腐食が大きい傾向になっている。さらにステンレス鋼では宮古島>西原>銚子の順に腐食が激しくなったいることが分かった。特に炭素鋼では宮古島の腐食量が大きくなっている。このことは金属材料によって腐食に関与する環境因子の影響度合いが大きく異なることを示唆している。しかし、どの環境因子が各種金属材料の腐食にどのように影響しているかは不明であるが、今後各種金属材料の腐食量と環境因子との解析に明確にになるものと考えられる。 本研究を遂行するに当たって科学研究補助金により、百葉箱、直読がいし塩分計、放射温度計を購入した。そして大気環境条件の一部を測定することができ、工業材料の耐食性の研究に役立てることができた。
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