研究概要 |
本年度は、接合体の動的環境評価の準備として, 1. 連続荷重負荷試験装置の購入・雰囲気調整加熱試験装置の設計製作及び予備試験 試験装置,加熱機器等の準備状況はほぼ計画通り進み,現在装置の基礎データ収集のためのテストランを行っている。 2. 接合体の作製と予備試験 Al203/Kovar合金接合体(ろう接),Si3N4/Kovar合金接合(ろう接)体及びSi3N4/Kovar合金接合体(固相接合法)により作製し,静的環境試験データの確認と動的環境試験条件の確立を行った。 3. 静的環境試験結果のまとめ (1) Al203接合体 443〜973Kの熱サイクルでは,300回においても大きな変化は認められなく,若干の強度上昇が生じた。これは,接合時に生じている残留熱応力の開放によると判断した。 熱衝撃試験では,ΔTtが200K以上でセラミックスの破壊による急激な強度低下が示され,Al203自体の熱衝撃値と一致した。酸化試験では,798Kで1080ksまでは比例的低下を示し,その後100MPa程度を維持した。 酸化による強度低下は,反応層とろう材層に存在するFeを主とする合金層の優先的酸化によるものであった。 (2) Si3N4ろう接体 443〜958Kの熱サイクルでは180回までの範囲において破断強度に大きなバラツキが生じ,接合体自体の持つろう材層厚さに起因することが明らかとなった。つまり,室温での曲げ強度は,ろう材層が比較的厚いときに高い値が得られる。しかし,熱サイクルが負荷されると全く逆の傾向が示され,ろう材層が厚い接合体において強度低下が著しいことが判明した。これは,熱サイクルの過程で膨張率の違いから,ろう材層と反応層の界面にせん断応力が生じるためであり,ろう材層が厚い場合ほど界面に生じるせん断応力が顕著となり強度低下を招くことが明らかとなった。 このように,室温における静的な破断強度の測定では,接合体に予期しない結果を生じる可能性がり,動的な荷重負荷環境における評価方法を確立することが重要と考えられる。また,本研究計画が妥当であり,急務であることが明らかである。
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