研究概要 |
平成10年度から平成11年度において,セラミックス・金属接合体の連続荷重負荷のための荷重負荷試験機を作製し,接合体の連続荷重負荷・その場破断,強度測定を可能とした. 1.動的環境評価 試験機は,三点曲げ,四点曲げによる定荷重・サイクル荷重負荷が可能である.試験部位は,加熱および真空・特殊ガス雰囲気の調整が可能である.熱負荷は1073Kまで可能であり,各試験データはPCに取込み保存,解析を可能とした.接合体は,Si3N4とkovar,NiおよびAl2O3・kovar(活性金属法),Si3N4・kovar(固相接合法)を試験片とした. 2.定荷重負荷・加熱負荷試験(Si3N4・kovar活性金属法接合体) (1)204MPa・86.4ksの定荷重・加熱負荷では,破断強度は323〜573Kの範囲において450MPaから試験温度の上昇に伴いほぼ直線的に強度低下した. (2)接合体の破断形態は,423Kを境にSi3N4の固着面積が減少し,それにともない破断強度が低下した.このことから,Si3N4の固着面積が接合強度を支配し,試験温度の上昇が接合体を劣化させている. (3)接合体の破断位置は,Ti化合物(TiN,Ti5Si3)層とSi3N4の界面であった. (4)接合強度の低下は,試験温度の上昇に伴い,Si3N4と反応層の界面に働く,熱膨張率の差異による剪断応力が増加するためと考えられる. 3.サイクル荷重・加熱負荷試険(Si3N4・kovar活性金属法接合体) (1)398K・204MPaのサイクル荷重負荷では,破断強度はサイクル数の増加による強度低下の傾向を示さなかった.また,448K・204MPaのサイクル荷重負荷では,サイクル数による顕著な強度低下は示さなかった.これは,加熱によるろう材層の軟化のため接合体の残留応力が解放されたためと考えられる. したがって,さらに高荷重・高温負荷による試験が必要であると判断される. これらの結果から,セラミックス・金属接合体の実用的使用環境の把握が可能となった.
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